ダクトの点検口について解説 – 設置の基準や重要性

ビルや商業施設などはもちろん、飲食店や一般家庭にもあるダクトですが、今回はダクトの点検口についてご紹介します。

具体的には、ダクトの点検口の役割、制気口の種類について触れています。
定期的なメンテナンスの必要性や点検口の設置の重要性について、今一度確認していきましょう。

ダクトとは

まずは「ダクト」について説明していきます。
「ダクト」とは、建物内にある空気が通る管です。

「通風管」や「風導管」とも呼ばれています。
空気を取り込んだり排出したりすることで、室内を快適な空間にするためのものです。

天井裏に設置されていることがほとんどのため、普段目にすることはありません。

ダクトの種類

ダクトには主に以下の3種類があります。

・空調用ダクト
・換気用ダクト
・排煙用ダクト

「空調用ダクト」は、空調機器から建物内へ風を送るものです。
商業施設や病院、ビルなどで主に使用されており、空調機械室から各部屋に冷気や暖気を送り込みます。

「換気用ダクト」は空気を入れ替えるためのダクトです。
人が出入りする建物には設置されており、飲食店での煙の排出にも使用されます。

「排煙用ダクト」は、火災が起きた際に外へ煙を排出する役割を持っています。
煙を外へ排出することで避難経路を確保し、避難ができるようになっているのです。
日常で使用することはありませんが、火災発生に備えた大切なダクトとなっています。

ダクトの点検口

ダクトの役割や種類についてわかったところで、ダクトには「点検口」というものがあるのをご存知でしょうか。
「点検口」とは、点検時にダクト内部を見るための出入口です。

開閉式になっており、ダクト内の圧力により内開型と外開型の2種類があります。
点検口はダクト内でトラブルが生じた際のメンテナンスや、点検に使用される扉です。

飲食店における排気ダクトの点検口

飲食店では排気ダクトへの延焼による火災が増加しています。

厨房のレンジフード内に排気ダクトが接続されていますが、いくらレンジフードや厨房をきれいにしていても、排気ダクト内には大気中に含まれた油の汚れがあるのです。

鍋から火が出て消火をした場合でも、排気ダクト内の油汚れに引火してしまいます。

このような排気ダクトへの延焼による飲食店火災が増えているため、点検口の設置が基準化されました。
点検口からダクト内を定期的に清掃・点検を行い、延焼を最小限に抑えられます。

ダクト内の点検なら空研工業

点検口の設置について

点検口の設置については、火災予防条例にて以下のような運用基準が設けられています。

条例第3条の2第1項第4号で規定する「清掃ができる構造」とは、次によること。
ただし、次の施工方法と同等と認められる構造等の場合は、これによります。

(1)排気ダクトに点検口を設ける場合

排気ダクトの点検口の位置は、わん曲部(120度以内)の部分、及び直線部分に設けることとし、直線部分に設ける場合は、次により設置すること。

ア 円形の排気ダクトの場合は、概ね2mの範囲内で点検口(概ね400mm×250mm)を設置すること。
イ 角形の排気ダクトの場合は、次により設置すること。
(ア)排気ダクト内に進入して清掃をする場合(概ね500mm×300mm以上)、概ね7〜8mの範囲内に点検口(概ね450mm×450mm)を設け、作業員の荷重に耐えられるよう、 支持部は排気ダクト自体の重みに300kgを加えた重量に耐えられる構造とすること。
(イ)排気ダクトの外から清掃する場合概ね2mの範囲内に点検口(概ね400mm×250mm)を設けること。

(2)排気ダクトに点検口を設けない場合

接続部をフランジ接続等により取り外し可能で、かつ、接合部の気密性が確保できる構造とすること。
排気ダクト内が清掃可能な場合であれば、(1)及び(2)の施工方法を組み合わせることができる。

また、点検及び清掃のために天井・壁等に設けた点検口(概ね450mm×450mm)から排気ダクト及び排気ダクトの点検口へのアクセス経路として、断面積が概ね450mm×450mmの空間を確保できるよう適宜な位置に天井・壁等の点検口を設けること。

なお、排気ダクトの点検口は気密性を有し、かつ、容易に開口しない構造とすること。

また、点検口の周囲は、障害となる物を存置しないよう維持管理すること。
排気ダクトは不燃材料でできているため、適切に管理がされていればすぐに引火することはありません。

しかし、ダクト内部に油汚れが溜まっている場合は延焼してしまいます。
外観から見える汚れは日常的な清掃を行い、ダクト内部は1年に1回は点検することが必要です。

ダクトの制気口

ダクトの末端には「制気口」と呼ばれるものが取り付けられています。
空調の吹出口と吸込口、換気の給気口と排気口を総称したもので、空気を循環させ快適な室内にするためのものです。

制気口の種類

制気口にはさまざまな機能があり、室内の状況に適した制気口が設置されています。
ここでは制気口の種類について一部ご紹介していきます。

・ライン型吹出口
線状の吹出口で、主にエレベーターホールや出入口に設置されています。

・ノズル型吹出口
特定の位置への送風や、気流到達距離が長い場所に設置される吹出口です。

・システムグリッド天井型吹出口
主にオフィスビルの天井に設置されます。

・アネモ型吹出口
天井用の吹出口で、吹き出した風が広がりやすいのが特徴です。

・スリット型吹出口
設置場所を選ばない吸込口で、フィルターが内蔵されているものもあります。

・床置き型吸込口
オフィスフロアや映画館などに設置される床置き型の吹出口です。

まとめ

ダクトの役割と点検口についてお伝えしました。
点検口はダクト内部に不具合が生じた場合、点検をするための扉です。

特に飲食店の排気ダクト内には、大気中に含まれた油汚れがこびりついており、火災が発生した際にはダクト内の油汚れに引火して延焼を起こす可能性があります。

ダクト内の定期的なメンテナンスが必要となり、そのためにも点検口の設置はとても大切です。

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