空調ダクトのパッキンとは?役割や仕組みを解説

ダクトのパッキンは空調ダクトや換気ダクトのつなぎ目に装着することで、空気漏れなどを防ぐ部材です。

どのような役割や仕組み、特徴があるのかを理解し、適切な利用とメンテナンスを実施しましょう。

ダクトのパッキンとは

ダクトのパッキンとは、空調ダクトや換気ダクトのフランジと呼ばれるつなぎ目に装着されているシール材のことです。

空調ダクトや換気ダクトは大型建物で暖気や冷気、空気などの通り道となりますが、一つなぎのパイプではなく、形状に沿って這わせられるようにいくつかのダクトをつなぎ合わせて設置されています。

ダクトの接続部分のことをフランジと呼びますが、フランジの接合面に挿入されるゴム状やテープ状の部品がパッキンです。

ダクトのパッキンの役割

空調ダクトにしても、換気ダクトにしても、複数の短い管をつなぐことで一つのダクトが形成されます。

それぞれのダクトを接続する継手となるフランジが必要になるだけでなく、フランジの隙間を埋めるパッキンはダクト形成の上で欠かせません。

もし、ダクトのつなぎ目に極わずかでもすき間があれば、ダクトを伝わっていく空調の暖気や冷気、換気ダクトの空気や汚れた煙などが漏れてしまう可能性があります。

空調ダクトであれば冷暖房効率が悪くなり、余計な光熱費などもかかってしまいます。
二酸化炭素の排出量も増え、地球温暖化にも影響しかねません。

換気ダクトであれば十分な換気ができなくなり、空気の流れに淀みが生じてしまいます。
室内が汚れたり、空気が汚れたりすることで利用する人や働く人の環境を悪化させるリスクもあるのです。

こうした支障が出ないよう、パッキンでしっかりとすき間を埋めてあげることが大切です。

このようにダクトのパッキンの役割は冷暖房の効率化や換気の適切化をサポートし、余計なコストの発生を抑え、省エネや地球温暖化防止の役割も果たしています。

ダクトのパッキンの仕組み

ダクトとダクトを接続するにあたっては、ダクトの端にフランジ加工を施します。
そのうえで、ボトルとナットで固定する仕組みです。

これだけではつなぎ目の隙間から空気などが漏れてしまうかもしれません。
極わずかなすき間もできないように、パッキンで隙間を埋めていくのです。

つまり、糊で固めるような、セロハンテープやガムテープなどを巻き付けるようなイメージです。
パッキンにはさまざまな素材や品質の製品が登場していますが、いずれにしても消耗品であり永久的に使えるわけではありません。

経年劣化によってボロボロに摩耗したり、剥がれたり、破れたりすることがあります。
劣化によって隙間ができやすくなると、空気が漏れてしまいます。

冷暖房効率が悪化して光熱費が嵩んだり、空気が淀んで環境が悪化するなどの懸念があるため、定期的にダクトのつなぎ目部分をチェックして、パッキンが劣化していないか点検しなくてはなりません。

ダンパーの点検なら空研工業

ダクトのパッキンの方式

ダクトのパッキンは大きく分けると、2つの方式があります。

一つはゴム状のもので、もう一つはテープ状のものです。
ゴム状の方式はブチルゴムなどを基材としたもので、屋外に設置されるダクトや厨房の排気ダクト、高温での使用が基本となる排煙ダクトなどに利用されます。

風雨や紫外線、直射日光などの影響がある過酷な屋外の環境や、厨房や排煙ダクトなど高温下での使用が想定される場合には、テープ状の方式よりも強度に優れた、ゴム状のパッキンが適しているためです。

もう一つの方式であるテープ状のパッキンは、オレフィンプラスチック系などの素材で作られています。
空調ダクトや換気ダクトなどのパッキンは、通常テープ状の方式が使われます。

ダクトのパッキンの構造

パッキンはダクトとダクトをつなぐ継手であるフランジの隙間を埋め込む構造として装着されます。

もっとも、経年劣化が生じるため定期的に点検をして、劣化が起こっていたら新しいパッキンへと交換しなくてはなりません。

この点、気を付けたいのがかつて利用されていたゴム製のパッキンの中には、アスベストを含有している製品があることです。

アスベスト含有率も非常に高く、その建物の利用者の健康に被害を及ぼすリスクや、取り外しなどの作業者に大きな影響を与えるほどの含有率のケースも少なくありません。

アスベストは柔軟性に優れており、すき間を埋めやすいうえ、熱や薬品に強く、高耐久性に優れていたため、ビルや学校、大型施設の空調ダクトのパッキンとして多用されていました。

現在では考えられないかもしれませんが、交換が進んでいなければ、まだ取り付けられている可能性はあります。

アスベストを含むゴム製品と樹脂ゴム製のパッキンは見分けがつきやすい一方で、繊維系のパッキンはアスベスト入りのものかどうかの判別は目視では難しく、サンプリング調査を行って分析しなければなりません。

長く交換されていなかった古いダクトのパッキンを点検したり、交換する場合には万が一の健康被害を防ぐためにも専門業者にアスベスト調査の依頼をするようにしましょう。

では、いざ新しいパッキンに交換する場合、どのようなものを選べばいいでしょうか。
パッキンは現在の製品と同一ではなく、サイズなどが合えば素材を変えたり、メーカーなども変更したりすることが可能です。

この点、近年は建築設備へのニーズとして、高層化や高機能化に即した、高寿命で耐久性の高いパッキンが人気です。

工場などプラントのプロセスラインに設置されるダクトのパッキンは、熱や煙などの環境により、どうしても劣化がしやすく、定期点検サイクルも短くなります。

これに対して、高層オフィスビルや商業施設などの空調衛生設備向け配管用のダクトパッキンは長期間にわたって安定的に使用できるものが望まれます。

たとえば、特殊軟質塩化ビニルコンパウンド製のパッキンは、近年の人気素材の一つです。

従来の塩化ビニルにはなかったゴム状の弾性に加えて、塩化ビニルの優れた特徴である耐候性や耐オゾン性、耐油性と耐薬品性も兼ね備えています。
塩化ビニルでは実現できない耐寒性や熱変形性も備わっており、外観や触感、腰の強さにおいて、ゴムパッキンと見分けがつきません。

ですが、ゴムパッキンに比べて耐オゾン性が抜群に高く、屈曲疲労強度にも優れているのが魅力です。

また、ロックウールと難燃性不織布を素材にしたパッキンも登場しています。
ロックウールをフェルト状に仕上げて飛散防止加工を施し、難燃性不織布と合わせてニードルパンチ加工を施して密着性を強化させる構造です。
不燃性や耐火性に優れ、断熱性や保温性能も併せ持ちます。

なおパッキンを選ぶうえでは、次のような点に注意しましょう。

まず、使用条件を確認します。
流体に冒されず、耐熱、耐圧力に余裕のあるパッキンを選ばなくてはなりません。

そのため、使用流体、使用温度、使用圧力などの環境を確認しましょう。
次に配管の種類を確認しましょう。
SUS、樹脂といった選定に注意が必要な材質があるためです。

次にフランジの種類も確認してください。
寸法の問題をはじめ、額縁型フランジにはボルテックスタイプのパッキンは装着できないなど、形状によって使えないことがあるためです。

まとめ

ダクトのパッキンは空調ダクトや換気ダクトのつなぎ目であるフランジ部分からの空気漏れを防ぐために欠かせない部品です。

ゴム製やフッ素樹脂製などさまざまなタイプが登場していますが、基本的には消耗品であり、経年劣化すれば交換が必要です。
交換やメンテナンスの手間やコストを省くためにも耐久性が高く、長寿命の高品質のものを選ぶようにしましょう。

一方で、空気漏れを防ぐための定期点検も欠かせません。

空気が漏れた状態では空調効率が悪くなったり、換気効率が下がったりするため、定期点検を実施して空気漏れがないか、経年劣化が進んでいないか確認しましょう。

風量調整ダンパーやチャッキダンパーの点検なら空研工業

NO IMAGE
CTR IMG

〒810-0051 福岡市中央区大濠公園2番39号
TEL. 092-741-5031 FAX. 092-741-5122