排煙ダクト設備と排気ダクト設備について、用途や構造、種類についてご紹介していきます。
排煙ダクト設備や排気ダクト設備の細かい構造やルールを知らない方も多いようです。
法律でも厳しく定められていることにも触れていますので、法令違反とならないよう参考にしていただければと思います。
制気口の用途とは?
制気口の用途は主に吹出口と吸込口の2つです。
吹出口は、空調機によって温度や湿度を調節した空気を室内に送り込みます。
吸込口は、室内の空気を吸込んで空調機に戻したり、室外へ排出しているものです。
吹出口からは離れた位置にあるのが一般的で、この2つの制気口によって室内の空気の流れを作る役割があります。
制気口は、さまざまな場面で使用されています。
機械設備の品質管理や人々が働いたり生活したりする場所には必ずと言っていいほど制気口が使われています。
制気口の構造とは?
冷房の冷たい空気は下に、暖房の暖かい空気は上にいく特性があります。
制気口は、空気の特性を最大限に活かし、空間の用途に合わせた構造です。
制気口には床置き型の吹出口や天井用の吹出口、高い天井に使われるノズル型吹出口などさまざまな種類があります。
用途に合わせて最適な制気口を選ぶのが大事です。
ダクトとは
そもそもダクトとは、普段あまり目にすることのない、建物内部の天井の裏などに設置されていることが多い設備です。
暖気や冷気、換気や排煙などの空気を、ダクトによって循環させて快適な室内環境を作る役割があります。
そのダクトの出入口が先程説明した、吹出口と吸込口となります。
外気の取り入れ口や、排気口が開口したままだと、外部からの排気や雨風、場合によっては鳥や虫などが侵入してしまいます。
そのため、吹出口や吸込口には、ガラリやウェザーカバーなどが取り付けられています。
排煙ダクトとは?
排煙ダクトについて詳しく解説していきます。
排煙ダクトのイメージとしては、タバコの煙を外に排出するダクトと思われるかもしれません。
喫煙所についているものなどが思い浮かぶのではないでしょうか。
また、焼肉や厨房の煙を排出する設備を思い浮かべるかもしれません。
しかし排煙ダクトとは、火災による煙を排出するダクトという意味なのです。
室内で火災による煙が発生した際に、窒素や有害なガスによる中毒を防ぐ大事な役割を担っている、建築基準法の排煙設備のことです。
排煙設備の設置は、法令で定められており、機械排煙を行う場合、排煙ダクト必ず使われます。
排煙設備が必要?
排煙設備が必要な建物かどうかについては、建築基準法施行令第126条の2に定められています。
一 建築物をその床面積五百平方メートル以内ごとに、防煙壁で区画すること。
二 排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、不燃材料で造ること。
三 排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁の上部(天井から八十センチメートル(たけの最も短い防煙壁のたけが八十センチメートルに満たないときは、その値)以内の距離にある部分をいう。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。
四 排煙口には、手動開放装置を設けること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面か八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に、天井から吊下げて設ける場合においては床面から概ね一・八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
六 排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖される恐れのない構造の戸その他これに類するものを設けること。
七 排煙風道は、第百十五条第一項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
八 排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338
上記の他にも電源を必要とする排煙設備には予備電源を設けることなど、安全面で配慮されている内容となっています。
建物には必須の排煙設備ですが、マンションなどは排煙設備が不要な場合もあります。
また、不燃性のものが保管されている場所では火災の心配がないので、排煙設備の設置は免除されます。
排煙設備の種類
排煙設備は、建築内で火災に巻き込まれることなく安全に避難するための設備であり、建築基準法では一定規模の建物に排煙設備の設置を義務付けています。
対象となる箇所には防煙壁を設ける必要があり、500㎡以内に区画しなくてはいけません。
そのエリアのどの場所からでも30m以内に排煙口を設けるいう決まりがあります。
また、排煙設備には2通りの方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
自然排煙
自然排煙とは、窓を開放して煙を外に出す排煙方法です。
自然排煙の中でも、採光や通風の窓と兼用する方法と排気窓と呼ばれる専用の窓を設置する方法があります。
自然排煙は基準を満たしていれば、通常の窓と併用できるためコストは安く、多くの小規模の建物が自然排煙を採用しています。
新築の段階で設置する際は、排煙窓を作ることが一般的です。排煙窓に関してはどの窓でも良いわけではなく、排煙窓として認められるための基準が設けられています。
部屋の面積の1/50以上の排煙窓が必要であり、天井からは80cm以内に設置する必要があります。
自然排煙のデメリットとしては、各部屋を建物の外壁側に配置しなければいけないという制約があります。
機械排煙
機械排煙は、非常時に排煙口が開くシステムになっていて、ダクトを通し機械によって外に煙を排出します。
停電時にも稼働するように非常電源で稼働するのも特徴です。
排気ダクトとは?
次に排気ダクトについて解説していきます。汚れた空気を排出するダクトです。
ちなみに外気から新鮮な空気を取り入れるためのダクトは外気ダクトと言います。
排煙ダクトと言葉も似ていて、どちらも飲食店には必要不可欠です。
飲食店においては、厨房やキッチンなどに設置してある排気フードから、調理の際に出る煙や湯気などを吸込み、排気ダクトに送り込みます。
ダクトに送り込まれた煙などは、排気ファンによって外に放出されます。
排気口は直出しと屋上出しの2種類があり、用途によって使い分けられています。
直出しは外壁の上部から排出されるので、さほど匂いが気にならない飲食店向きです。
屋上出しは煙突のように排気口を設置して屋上から排出する方法です。焼肉やラーメン屋などの匂いが強い飲食店向きです。
まとめ
今回は排煙ダクトの用途や構造などをご紹介しました。
排煙ダクトは建築法で設置の基準が設けられていますので、排煙ダクトを設置する必要があるのか不明な場合は参考にしてください。