制気口ボックスの「吊り数」とは?安全性を踏まえた設置工事

制気口ボックスは、主に天井などに吊り下げる設備です。

そのため、万が一、落下するというような事故が起こらないよう、適切な方法で取り付けなくてはなりません。
施工にあたっては、吊り数の確認も必要です。

吊り下げる制気口ボックスのメーカーの仕様を確認し、仕様に基づく吊り数を最低限の吊り数と考えたうえで、より安全性の高い吊り数で施工されるケースが多く見られます。

コスト面や施工期間なども踏まえつつ、より安全に設置するために、適切な吊り数について検討していきましょう。

制気口ボックスの吊り数とは

制気口ボックスは、ビルや商業施設、工場や公共施設、医療機関、教育機関など、大型の施設における空調設備や換気設備の設置、稼働に欠かせない設備です。

汚れた空気と清浄な空気の吸排気を行う換気ダクトや、冷暖房の送風を行うダクトに取り付け、吸排気とともに風量調整や風向調整などを担う装置となります。
天井やダクトに取り付けられるため、適切に施工しなければ、落下するリスクがあります。

そのため、制気口ボックスを何点で支持するのか、安全で適切な制気口ボックスの吊り数を検討しなくてはなりません。

吊り数は制気口ボックスの製造メーカーにて、カタログや取り付け説明書にて案内がされています。

仕様の吊り数で設置できる耐性を示すものではありますが、現場では仕様を最小限の基準として、より安全な方法で取り付け工事を行うのが一般的です。

制気口ボックスの吊り数の役割

制気口ボックスの吊り数は、落下事故を防ぎ、安定的に機能を保持するために必要な支持数を示す役割を果たします。

取り付ける制気口ボックスのメーカーが保証する吊り数を確認したうえで、実際の現場の取り付け位置や場所、取り付けられる施設の性質や施設の使用目的、使用方法などを踏まえ、吊り数を検討しなければなりません。

公共施設における取り付けなど公共工事においては、メーカー仕様の吊り数にかかわらず、一定数以上の吊り数が定められていることもありますので、注意が必要です。

制気口ボックスの設置工事なら空研工業

制気口ボックスの吊り数の仕組み

近年、メーカーの開発技術などにより、1点吊りが可能という制気口ボックスも登場していますが、実際の現場では最低限でも2点吊り、基本は3点吊りか4点吊りを採用するケースが一般的です。

いずれの吊り数を採用するかの最低限の基準として、仕様に反しないこと、不安定な支持にならないことが求められます。

なお、機械設備工事監理指針では、基本的には3点吊り以上が求められています。
制気口ボックスの吊り数の仕組みとして参考になるのが、民間の工事のお手本ともなる公共工事で、どのような支持が行われているかです。

国土交通省大臣官房官庁営繕部制作の公共建築工事標準仕様書・機械設備工事編の平成31年版によると、ダクトの吊りおよび支持については、以下のように定められています。

横走りダクトは、吊り間隔3,640㎜以下ごとに、ダクトの吊り金物・形鋼振れ止め支持要領に基づく標準図に基づいて吊らなくてはなりません。

吊り金物に用いる山形鋼の長さは、接合フランジの横幅以上とし、ダクトと吊り金物の組み合わせは、以下の表の組み合わせに基づくことが必要です。

ダクト長辺 山形鋼寸法 吊り用ボルト
750以下 25×25×3 M10又は呼び径9
750を超え1,500以下 30×30×3 M10又は呼び径9
1,500を超え2,200以下 40×40×3 M10又は呼び径9
2,200を超えるもの 40×40×5 M10又は呼び径9

横走り主ダクトは12m以下ごとに、ダクトの吊り金物・形鋼振れ止め支持要領に基づく標準図をもとに振れ止め支持を実施するとともに、横走り主ダクト末端部に振れ止め支持を行わなくてはなりません。

壁貫通などによって振れを防止できる場合は、貫通部と吊りをもって振れ止め支持とみなすことが可能です。
縦ダクトの場合、各階1箇所以上に、ダクトの棒鋼吊り・形鋼振れ止め支持要領に基づく標準図により、振れ止め支持固定を行うことが必要です。

ダクトの振動伝播を防ぐ必要があるケースでは、防振材を用いて吊りおよび支持を行わなくてはなりません。

制気口ボックスの吊り数の方式

建物のディベロッパーや空調設備業者などが、それぞれ施工要領を設けていることも少なくありません。
制気口ボックスの形状などによって、最小限の吊り数を定めているケースが多いです。

たとえば、アネモディフューザーの場合は、ボックス接続(フレキシブルダクト接続)の場合は2箇所以上、羽子板接続(角ダクト接続)の場合はダクト接続の対面側に1箇所以上、円形ボックス接続の場合は1箇所以上などとされる内容です。

ラインディフューザーの場合は、ボックス長さ1500mm以下なら2点吊り、1500mmを超える場合は4点吊りなどと、施工ガイドが設けられている場合があります。

メーカーの中には、天井との接点調整が簡単にできる1点吊りを採用した、アネモ制気口ボックスを開発しているケースもあります。

制気口ボックスは、吸音性・断熱性・不燃性・経済性に優れた鉄板、または高密度のグラスウールボードで構成されています。

アネモの各サイズに対応しており、天井ボードの開口後でも吊り込み施工ができるという製品です。
アネモボックスはネックが回転する方式となっており、目地合わせがしやすい設計です。

なお、制気口本体や部品類などの落下リスクがあるため、ボックス類への器具取り付けや施工時は、金物のねじ山を破損しないよう留意しなくてはなりません。

制気口ボックスの吊り数の構造

制気口ボックスの吊り数の構造は、実際、現場での施工にかかってくるのが実情です。

メーカーが提示する仕様は必要最小限の指標であり、一方、公共工事における工事標準仕様書・機械設備工事編の指針は、より安全に取り付ける構造です。

施工業者による施工要領は、安全面に加えて、施工のしやすさや納期、経済性なども反映されています。
そのため、実際の現場では施工にあたっての打ち合わせで、制気口ボックスを何点吊りするかを協議し、速やかに合意に達しない場合も少なくありません。
吊り数が増せば、安全性は高まる一方で、工期やコストがかかるためです。

また、公共工事や大手ゼネコンなどの明確な指針や仕様がある現場では、1点吊りとなるケースはほぼ見られません。

これに対して、民間工事で地元のゼネコンや設計事務者が監理する現場では、アネモボックスレベルであれば、1点吊りで施工するケースもあります。

工期を急いでいる、資金が不足しているといったケースでは、吊り数を少なくする方向に偏りがちですが、最小限の仕様を守り、安全面をしっかり考慮することが大切です。

まとめ

制気口ボックスを何点吊りで設置するかは、設置する制気口ボックスのメーカーの仕様吊り数を必要最小限の基準ととらえ、設置する場所や施設の性質、現場や工事の性質などを踏まえて決めることが必要です。

工期やコスト面だけでなく、何より安全性重視で検討しましょう。

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