ダクトというと、一般的にイメージするのはビルの外などにある銀色の箱型の物ではありませんか。
換気扇から吸い込んだ油などの排気を外に出すイメージがありますが、実はダクトはそれだけではありません。
ここでは、オフィスなどの大きな施設の空気を調整し送り届ける空調用のダクトと制気口の関係についてご説明します。
空調用ダクトとは
空調機で作られた暖気や冷気を室内に送り込むのが主な役割です。
外気を繰り込むだけでなく古くなった空気を吸い外に排出することや、再度空調機に戻すことも仕事です。
ダクトは大抵天井裏に取り付けてあることが多いため、あまり目にする機会はありません。
忘れられがちなダクトですが、ダクトの性質を活かすことで空調の効き方も変わってきます。
制気口ダクトの種類
種類1.角ダクトについて
一般的に、ダクト内の風速が15m/s以下で静圧が500Pa以下の低速ダクトに使われています。
騒音防止や省エネ、経済性が高いため、低速ダクトが空調設備の多くで採用されています。
名前の通りダクトの形は四角い形をしており、正方形に近いほど空気抵抗が少なく効率的に空気を運ぶことができます。
施工がプロでないと難しいということや丸ダクトに比べ大きいことが欠点ですが、施工に時間がかからないのもメリットのひとつです。
種類2.丸ダクトについて
一方、丸ダクトは空気抵抗がとにかく少ないことが特徴です。
そのため、ダクト内の風速が15m/s以上の高速ダクトに採用されるケースが多くなっています。
空気抵抗が少ないのはもちろん、角ダクトに比べ大幅にサイズを小さくすることができるため天井空間を広く使うことが可能です。
しかし、騒音が発生しやすいという欠点があり、いかに消音するかという点が丸ダクトの課題となるポイントです。
制気口とは
オフィスや商業施設などの空調の吹出口や吸込口などを総称したものを制気口といいます。
ダクトは制気口まで空気を通す役割を果たしています。
吹出口は快適な室内空間をつくるため、効率よく空調を室内に届けることが重要課題となります。
様々な種類が用意され、施設に合わせた種類の吹出口を選ぶことが可能となっており、オーダーメイドもあります。
室内に取り付ける製品のため、効率性はもちろんデザイン性も問われます。
制気口の役割
制気口は外の空気を取り入れ、中の空気を排出することにより常にきれいな空気を室内に循環させてくれるものです。
空気の特性を活かし、空間の用途や目的にあわせた機能があります。
ダクトからの風を制気口で均一にし、高配給される空気を静かに素早く室内に送り届けることなど、ただ空気を循環させるだけでなく快適な室内空間を過ごせるように工夫しているのが制気口の役割です。
制気口の種類
制気口には様々な種類がありますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
実際の種類と特徴についてご紹介します。
ユニバーサル・グリル型の構造
天井や壁につけるシンプルなデザインの制気口です。
H・V型やVH・HV型などがありVは縦、Hは横を意味しています。
その名の通り縦や横開きの羽根がついているのが特徴で、羽根を動かすことにより風量や風向きを調整することが可能です。
また、シャッター付きのものなどもあり、個々に合わせた調整もできます。
場所をとらないため、オフィスはもとより様々な場所で最も採用されている制気口です。
吹出口だけでなく吸込口として扱うこともできるので、フィルター付きのものなどもあります。
シンプルかつ有能な制気口の種類です。
アネモ(アネモスタット)型の構造
アメリカのアネモスタット社が作ったことから、アネモ型と呼ばれていますが正式名称はシーリングディフューザーです。
ラッパのような形が特徴的で、ラッパ状の羽根が何層にもなっていることで風を放射線状に拡散させます。
多くの空気を吹出し拡散させることができるため、大きな商業施設(ショッピングモールなど)天井の高いところに設置されています。
ライン型の構造
細長い線状の形をしているのがライン型の特徴です。
すっきりしたデザインで場所を取らないため、窓際や外気の影響を受けやすいペリメーターゾーンなどにも採用されます。
まっすぐな風を吹き出すことが可能で、出入り口付近でのエアカーテンとしても使用可能です。
空気抵抗が少なく静かで、到達距離を長くできるため広い空間でもしっかりと空調を効かせることができます。
ノズル型の構造
ノズル型の吹出口は、大風量を出せるのが特徴です。
丸形のスパイラルダクトに直接付けることも可能で、静かなことが魅力です。
そのため、劇場や体育館などの天井が高いところに取り付けられています。
ストレートや拡散など風量調節が可能なタイプもありスポット空調としても使うことが可能です。
そのため、レストランなどの熱風が溜まりやすい厨房でも重宝される吹出口です。
まとめ
ダクトと制気口の関係についてご紹介しました。
切っても切れない関係のダクトと制気口ですが、組み合わせ方次第で空調をより快適に扱うことができます。
種類や組み合わせが多いため、一般的な知識だけで最適な部品を選ぶのは至難の業です。
そんなときはプロに相談して、場所に最適なダクトと制気口を選ぶことをオススメします。