制気口の選び方とは

制気口とは空調に使われる吹出口・吸込口のことを指します。
そして、換気用の吸排気口を総称したものです。

建造物の「ダクト」は知っていても「制気口」という言葉を知っている人は少ないかもしれません。
本記事では制気口の分類と選び方をご紹介します。

制気口とは

建築物の内部には空調・換気・排気・排煙の目的で気体を運ぶ管があります。
この管のことは「エアダクト」「風導管」「通風管」といい、総じて「ダクト」と呼ばれます。

「制気口」とはこの空調設備の一部で、主にダクトの室内側に取り付けられた機器の事です。
種類は大きく分けて、吸込口と吹出口の2種類があります。

吹出口とは、外気や空調設備から空気を取り入れて、室内に送るために室内側に設置されています。
逆に吸込口とは、室内の空気を吸込んで空調機に送ったり、室外に排出したりする機器です。

吹出口の種類

吹出口はさらに細かく分類されます。

アネモ型

一般的には「アネモ」と略して呼ばれます。
また、丸型角型により、丸アネモ角アネモと呼ばれます。「アネモ型吹出口」「シーリング吹出口」とも呼ばれます。
丸型や角型で羽根を何枚か重ねたような形状をしているので、気流が放射状に広がる効果があり、室内の空気とよく混ざる仕組みになっています。
パンタイプもあります。

ライン型

制気口の吹出口、吸込口が線状になっているものは「ライン型」と呼ばれています。
細長い形状をしており、その名の通りライン状に幅広く空気を吹き出すという仕組みです。
この線状に空気を出す仕組みを利用して、エアーカーテンなどにも使用されます。
ライン型には吹出口が1本のシングルタイプ、2枚から4枚の吹出口を持つタイプまで展開されています。

羽根を可動することができ風向・風量調整が可能なタイプもあります。
ペリメーターゾーンなどによく使われる羽根が固定されたタイプもあります。

ノズル型

風を遠くに送ることができる特性を持っているのがノズル型です。
内筒を設けて気流の調整ができるタイプもあります。
高天井やロビ―などの壁面に設置します。
円筒形をしていて、スパイラルダクトに直接取り付けが出来るのも特徴です。

ユニバーサル型

壁や天井に取り付けます。吹出口としてだけでなく、吸込口と兼用できるのが特徴です。
縦や横、あるいは両方の羽根を可動させることで、気流を調整出来るという特性を持っています。
フィルター付きのものや、シャッターを付けて風量を調節するタイプもあります。

吸込口の種類

室内の空気を空調器に戻すことを「還気」といいますが、吸込口は吹出口と兼用したユニバーサル型が使われることも多いです。
羽根が固定された「スリット」もよく使われています。

外気を取り入れる、あるいは戸外に排気する場合は、一般的に角型の「ガラリ」や丸型の「ベントキャップ」と呼ばれる機器を使用します。
外部から目隠しをしながら空気を取り入れるデザインになっています。
屋外で使用するものであるため、雨やホコリの侵入を防ぐ目的で羽根に勾配が付けられています。
また、虫やコウモリの侵入を防ぐために、内部には防虫網が付けられているものがあるのも特徴のひとつです。

制気口の型番について

制気口の型番について説明します。
制気口は型番から形状を予測することができます。

ユニバーサル型の羽根の付き方

  • H型:羽根が水平のタイプ
  • V型:羽根が垂直タイプ
  • HV型:前側の羽根が水平で奥側が垂直タイプ
  • VH型:前側の羽根が垂直で奥側が水平タイプ

スリットの羽根の付き方

  • GH型:羽根が水平タイプ
  • GV型:羽根が垂直タイプ

シャッターの有無

それぞれの型の後に「S」を付けて分類されます。

  • シャッター付(ユニバーサル)・・・HS型、VS型、HVS型、VHS型
  • シャッター付(スリット)・・・GHS型、GVS型

フィルター付

制気口には「フィルター付」のものもあり、こちらには「/F」を付けて分類します。

  • フィルター付・・・H/F型、V/F型、HV/F型、VH/F型

シャッター、フィルター共に付属されているものもあるので、その場合は「S/F」を加えます。

  • シャッター、フィルター付(ユニバーサル)・・・HS/F型、VS/F型、HVS/F型、VHS/F型
  • フィルター付(スリット)・・・GH/F型、GV/F型

シャッター、フィルター共に付属されているスリットはGHS/F型、GVS/F型となります。

コーン型の円盤を同心円状に重ね合わせた吹出口は「シーリングディフューザー」と言いますが、C2型、KP型、E2型、EP型 等は「アネモ」という通称で呼ばれることも多いです。

制気口の選び方(選定基準)

制気口の選定する方法は「使用場所」と「形状、特性」そして「施設の規模」です。
具体的なサイズを選定するにあたってはその他に「風量・風速・到達距離・発生騒音」を、フィルター付を使う場合は「捕集効率・初期圧力損失」も計算する必要があります。

選び方1.外気の侵入が多い場所 大きな建物の入口

外気の侵入が多いのは建物の入口です。
例えば、商業施設や、コンサートホール、病院、オフィスビルなどの入口。
夏場などは外から侵入する暖気によって吹出口に結露が発生しやすくなります。
ひどい場合には水滴が落下してくることもあるため、吹出口には結露防止効果のあるものの設置が必要です。

選び方2.ホテルの客室や病院・商業施設・地下鉄など 密閉された場所

天井や壁にも取り付けられるため、ホテルの客室などの空間から地下鉄や地下街まで幅広く選ばれているのはユニバーサル型です。
汎用性に優れているのがその理由です。
気流の方向を変更できるもの、空気の拡散範囲や到達距離を調整できるものまで開発されています。

選び方3.倉庫や体育館・劇場など 室内の空間が広い場所

倉庫や体育館、ホールは遠くまで空気を送れるノズル型が選定されることが多いです。
ノズル型の特徴である遠くまで空気を運ぶことが出来るという特性が発揮されます。

選び方4.火器を扱うような場所 工場やレストランの厨房など

スポット空調として、ノズル型の吹出口が使用されることが多いです。

選び方5.外気を取り入れる 外壁に取り付ける吸込口

外気を取り入れる給気のために外壁に取り付ける吸込口は、自然の影響を受けるため防雨や防虫対策をしたものが好評です。
具体的には、フードや網の付いたものが選ばれています。

おすすめの制気口3選

制気口は使用する場所や環境で素材も種類も様々です。
ここでは外気温の影響を受けやすい場所、外気からの侵入物の影響を受けやすい場所を踏まえた、おすすめの制気口をご紹介します。

1.協立エアテック株式会社「無結露・汚染防止型アネモ 多層コーン型可動式」

協立エアテック株式会社は、商品ラインナップが幅広いメーカーです。
その中でも「無結露・汚染防止型アネモ 多層コーン型可動式」は、外気の侵入の多い建物の入口から厨房、地下鉄等まで汎用性の高い製品となっています。

2.フカガワグループ「リニアディフューザーLD型」

フカガワグル―プは協立エアテック株式会社と比較すると、若干価格設定が安価になります。
「リニアディフューザーLD型」はもっともポピュラーな形のライン型吹出口で、主にペリメーターゾーンに設置されます。
ペリメーターゾーンとは、建物の窓際や壁際などで、外気の温度の影響を受けやすいエリアのことです。
この製品は、連結して何列にも組み合わせることが可能なため、任意の長さで設置できることが特徴です。

3.空研工業株式会社「PD-F2」

空研工業株式会社が開発したパーソナル気流ユニットの吹出口です。
その名の通り、一人ひとりに合わせた気流を調整できることが最大のポイントです。
コンパクトなデザインで少ない風量でも快適な空間が得られます。
簡単な調整で最大30度の「斜め吹出」から「垂直吹出」ができ、自分だけの快適な風を得られます。
放射天井パネルとの組み合わせで使用されると、より一層快適性が得られます。

計装業者との打ち合わせも必要ですが、ウェアラブル端末でPC端末やスマートフォンで空調の制御ができるのもおすすめの理由です。

まとめ

室内空間によって制気口の素材やデザインは様々な種類があります。
同じように外壁や周辺環境によって、選択される吸込口の形状も選択肢が変わるのです。

寺院や和の空間、またはインテリアに木を使った室内なら木製の吹出口が馴染むでしょう。
たとえば檜工業株式会社からは、木製のアネモ型制気口が販売されています。木製なので結露を抑えることが出来ます。

このように、制気口の素材やデザインは顧客の要望に応じて変わります。

空研工業株式会社は、どのようなご要望にもお応え致します。

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